2023年1月24日に紹介した 菱岡憲司/著 「大才子 小津久足」についての記事です。
書誌情報
タイトル | 大才子 小津久足 |
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著者 | 菱岡憲司/著 |
出版社 | 中央公論新社 |
ISBN | 978-4-12-110134-1 |
価格 | 2,750 円 (10% 税込) |
発売予定日 | 2023年1月10日 |
サイズ | 四六判 |
ページ数 | 400 ページ |
Cコード | C1321 (教養, 全集・双書, 日本歴史) |
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中公選書の菱岡憲司『大才子 小津久足』 https://www.chuko.co.jp/zenshu/2023/01/110134.html… の飯倉洋一先生の書評。これは読まねばという紹介。
http://bokyakusanjin.seesaa.net/article/497395295.html…
posted at 23:49:24
「小津を通して、これまであいまいだった「江戸時代」の一面、文化文芸に商人の果たした役割や意味を浮かび上がらせた快作である。」
「一次史料を読み込んだ上での、商人としての小津(湯浅屋与右衛門)を描き出す。」
posted at 23:54:06
「たとえば上田秋成は、紙油商の上田家に養子に入り、養父亡き後の10年ほどは、主人として過ごしたはずだが、秋成研究者でこれまで、近世中期の紙油商について、その経営のあり方、仕入れや販売ルートや商人間の取引の実態について調べようとした人がいただろうか?…」
posted at 23:54:06
「…しかし、秋成の人生の前半生は紙油商の若旦那であり、店主だったのだ。そういうこれまでの文学研究・作家研究に対して本書は批判の言辞は一切ない。ただただ静かに模範を示すところが逆に刺さる。」
posted at 23:54:06
「第一章では、「江戸時代の商いの実情は、本業もさることながら、兼業に着目しなければ見えてこない」というのがそのひとつ。鰯のように獲れ高に左右される本業の不安定さを補う兼業が、商家の継続の鍵を握るのだ。「兼ねる」ということ。それは人格的にも言える。」
posted at 23:54:07
「江戸時代は「家」の概念が非常に重要だが、菱岡さんは小津家代々について、実に丁寧に叙述してゆく。その上で紹介されるからこそ、家訓書『非なるべし』の家訓に深く感銘を受ける。驚きますよ。」
posted at 23:54:07
「「雅俗」についての説明があるが、現在いちばんわかりやすい「雅俗」の説明…雅俗をきちんと論じるためには、堂上歌壇を無視できない。菱岡さんはそこもきちんと押さえて叙述し、宣長学からの離反という経緯を時代状況の中できちんと描く。」
posted at 23:54:07
「江戸出版流通の整備と蔵書形成が深く関わっていること。とくに江戸時代後期になって富裕町人が大蔵書家になるための環境として、それが無視できないことを、わかりやすく説得力ある説明で教えてくれる。」
posted at 23:54:08
「また蔵書家同士の交流も、膨大な書簡の読み込みから明るみに出していて、ここらあたりは、本好きにはたまらないはずである。この章で重要なのは、えてしてありがちな、江戸・京都・大坂の三都文化圏だけで、江戸の経済や文化を論じようとするあり方への警鐘、…」
posted at 23:54:08
「…そして、発信者(作者・著者)と受信者(読者)だけでなく、中継者という視点が必要で、その三者を総合したところに書籍文化論が成り立つだろうという提言。」
posted at 23:54:09
「いくつもの顔をもつ久足。どれが本当の久足なのか、と、凡庸な問いを発したくなるのだが、菱岡さんは終章で、これまでの内容を見事にまとめた上で、さらに面白い実態、そしてなるほどという見解を披露する。…」
posted at 23:54:09
「…「壱人両名」ということが黙認されていた社会、最後に正体が明かされる近世演劇の「実は」の作劇法は、観客に「名称使い分け」の日常生活があったからすんなり受容できたのではという仮説。」
posted at 23:54:09
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